教師という仕事も、ある種の、「サービス業」
いかに「顧客」を「満足」させるか。
ではでは、顧客とは誰か。
自分の立場で言えば、大体の割合が「先生」で次に続くのが「子ども」や「家族」
ではでは、満足とはどういうことか。
それは常に「期待以上に応える」ということ。
彼らはある程度の期待を抱いてくるわけで、例えば分からない所を解決するとか、技術を学ぶとか。
そんなことも教えてくれるのか!ということで、
そんな期待を上回ることで、
「次も来たい!」「研修会を受けたい!」
となる。
つまり学習意欲の向上だ。
教師とは何かと言う質問に、ある人は「役者」だと答える。
この役者、決してなれない役がある。
それは「主役」だ。
常に脇役に徹しなければならない。
出る杭は自分で押し込まなければならない、少し残酷な役だ。
頑張ってとれるのも最優秀助演男(女)優賞、ここまで。
脇役だからこそできる、主役を輝かす技がある。
ギガデインは使えなくてもイオナズンだってベギラゴンだって使える。
さてさて、そんなたくさんの「マジック」を「教室」にちりばめる。
ここでは学力向上を狙っているので、
勉強をさせるようなマジック
勉強したくなるマジック
とでも言いましょうか。
教室とは何か。
夢と不思議が満ちあふれた空間
とでも言いましょうか。
これってどういうこと?
なんでそうなるの?そう考えるの?
こんな「たくさんの?(ハテナ)」が、
この問題を解きたい!
答えを知りたい!
あんな風になりたい!
「たくさんの!(ビックリマーク)」に変わるそんな教室。
ディズニーのイマジニアの人たちのモットーは「夢見ることができれば、実現は可能だ」
不思議(?)が夢(!)に変わるには、気づかない所にたくさんのマジックが教室にちらばっているから。
たとえば、発言、発問、チョークの色、黒板、教材、立ち位置、つまり教師から発せられる全て。
たとえば、教室の入り口、掲示板、机の位置、棚の中、床、天井、つまり教室(もっと言えば学校)という環境から発せられる全て。
子どもたちには気づかない所でたくさんの魔法を先生方は毎日こっそりと給料にもならない時間に蒔いている。
僕のお仕事はそんなマジックを先生方に伝えること。
もちろん研修会にもたくさんのマジックをセットして。
そのことはもちろん秘密。
たとえば、研修会前にたくさんの「授業で使えるマジック」が書かれた紙を貼っておく。
たとえば、授業前に用意するものシリーズ、とか(こんなこと教えないといけないんです)
これから「説明するよ」というものを散りばめておく。
中にはクイズのように穴埋めになっていたり。
先生方は教室に入るとまずそれを写し出す。
その時からすでに「勉強をする」というやる気を出す魔法にかかっている。
知らないことがたくさんあるし、写しているだけで勉強している気分になる。
他の先生もその先生を見て写し出す。
こんな準備のマジック。
これが結構しんどいのは脇役の愚痴(笑)
授業の頭に「写していた先生」を褒めてあげる。
完全にマジックの虜。
最後にマジックショーについて考えてみよう。
観客はショーを見て楽しみ、驚く。
ほとんどの人は、手品師がどのようなトリックを使って不思議な光景を作り上げているかには気づかない。目の錯覚を生む仕掛けを知らずに楽しんでいる。
しかし手品師の立場からすれば、どうだろう。
彼らにとってはショーとは、再現可能な手順を踏み、狙った通りの光景を生み出して観客を喜ばせるという、現実的な仕事だ。
教師の仕事も同じだ。
児童にとってはよく分からない授業内容が、気づかないうちに分かるようになっている。しかもおまけに、さらに知りたいとまで思うようにまでなっている。
けれども教師の立場からから見れば、それは至極当然なことで、それは教師が「再現可能な手順を踏み、狙った通りの光景を生み出して観客を喜ばせている、現実的な仕事」をしているだけだからだ。
その「現実的な仕事」は実は、綿密な計算の上で実行され、細部まで考え抜かれている、けれどもそんなことを微塵にも感じさせない、言わば「手品ショー」
ディズニーは完璧なまでに、「すべての人のためにすべての場所で幸せ創造する」サービステーマを、しかもゲストにはまったく気づかせずに、クリアしている。
そうして毎年数億というリピータを確保し、夢の世界でも企業の世界でも一番のテーマパークとして今なお多くの人たちを魅了している。
教師とは、彼らが輝いて見えるのはその奥深い役柄なのではなく、主役にさえ見せてしまうマジックを持つ手品師なのかもしれない。
参考文献:『ディズニーが教える お客様を感動させる最高の方法』著者 ディズニー・インスティチュート 日本経済新聞社 2005年
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